第1章 不死コンビと賞金首
「……確か黒髪の若い女、だったよなァ」
幾ばくかした頃、ポツリと飛段が呟く。
角都の返事も待たずして真っ昼間の街道を跳ぶ様に走り抜け、飛段は人の背丈程ある赤い大鎌を軽々と振りかぶった。瞳を爛々と輝かせ、久しぶりに味わうあの痛みを一人想像しながら、菅笠を深くかぶった女へと襲い掛かる。
「死んでもらうぜェ!」
カキン。甲高い金属音が火花と共に弾けた。
尻もちをつき怯える女、もとい指名手配中の技術者 柳アオイの前に立ちはだかるのは、大柄な男。
三刃の大鎌は角都の硬化された腕に弾かれ、飛段の手に戻ったのだ。
「オイオイ、何してくれてんだよ角都?」
「それはこちらの台詞だ。飛段」
悲鳴を上げ逃げ惑う群衆の中、睨み合う二人。
漆黒に赤雲模様の外套。
アオイはその名を口にする。
「……あか、つき…」