第1章 不死コンビと賞金首
昨日、賞金首が姿を表したという橋から20キロ程離れた茶屋で、自らもまたS級の賞金首である二人は緊張感の無い待ち伏せを行う。
「角都ゥ、こんなとこで待っててホントに女が来るのか?」
団子を頬張りながら飛段は言う。それでも視線だけは外に目を光らせて獲物が通り掛かるのを今か今かと待っている。
「何をそんなに心配している?」
角都の方は口元を覆う布をずらし、茶を啜りながら小気味良く算盤を弾いて帳簿をつけていた。
「いやァ、今までの賞金首つったら森とか山とか洞窟ん中を追いかけ回ってたから、こんな人通りの多い場所で待ってて良いのかよと思ってな」
「フン、そんな事か」
角都は算盤を弾く手を止めることなく答える。
「今回の獲物は一般人、それに加え火の国へ来たばかりで土地勘も無い。奴が雷の国へ戻るとすると必ずこの道を通らざるを得ない」
「そんなもんか。オレはとにかく殺戮ができればなんだっていいんだかな、ゲハハハァ!あ、オバちゃん団子五本追加で頼むぜ」
「女は生け捕りだ。それと団子は五串と数えろ」
「細けぇ事にいちいち気にすんなよ、ジジ臭せぇ。神経質は早死にするらしいぜェ。」
「五月蝿いぞ飛段。それ以上喚くと支払いは別にするぞ?」
久しぶりに経費で飲食ができるとがめつく団子を注文していた飛段は、チッと舌打ちを残して静かになった。