第11章 事の発端②
その後、シドはまだ出来て数年という
私立ウィスタリア学院に
養護教諭、いわゆる保健室の先生として
採用が決まり、
アヤセは同じ街にある
大学に進学を決めた。
それと同時に二人は同棲を始めた。
「別に俺の採用先の近くの
大学にしなくたってよかったんだぜ?」
「…う、うん。」
「お前ならもうちょっと上んとこ
狙えたんじゃねえの?」
「…う、うん。」
「『うん』以外になんか言えよ。」
「…は、はい。」
「なんだよ、それ。」
「…あのね、ほんとバカバカしいと
思われるかもしれないけど…
シドがあのとき『俺の隣にいろよ。』って
言ったから…」
少し顔を赤くして恥ずかしそうに
アヤセは話す。
「はぁぁっ?
そんなことであの大学に決めたのか!?」
「…うん。」
「…ったく、お前それ反則だって。」
「えっ!?」
「可愛すぎだろ…」
「え……」
シドがアヤセに覆い被さる。
「きゃっ!」
「今すぐヤるぞ。」
「ちょっちょっと…!」
既に何度か肌を重ねていた二人は
そのままいつものように愛し合い始める。
そんな風にして二人が
愛を育んでいたある日…
アヤセはその街のとあるカフェで
アルバイトを始めていたのだか…
「おい!聞いたかよ!!」
(あ、あれはシドが働いている
学校の制服…)
「また新しく来た女の先生辞めるって!」
「聞いた!聞いた!」
「今回も早かったなー!」
「半年してねぇよな?」
「結局今回もあのパターン?」
「ああ、噂だとな。
いろんな教師に弄ばれた挙げ句、
最後は保健室のシドに骨抜きにされる
ってやつ!」
(!?)
アヤセは耳を疑った。
(い、今シドって…骨抜きって…!?)
アヤセは家でシドに会うなり問い詰める。
「知らねぇよ。噂だろ?」
「でも火のないところにって…」
「まぁ俺の立場上、
そういう色っぽい噂立ちやすいんだろうな。」
「立場上…?」
「ああ。授業じゃ
ペニスとかヴァギナとか、
そーゆー話してるからな。」
シドはニヤッと笑う。
「それはそれでしょ。」
「バカだな、
男子高校生の性への好奇心なめんなよ。」