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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第1章 かりそめの遊艶楼


それから数日後
翔様が楼にお見えになった際
藍姫様の心の内にある思いを翔様に告げるタイミングを図っていた

お願いばかりで申し訳ないと思いながらその時を待っていたが
先にその話題に触れてきたのは
翔様の方だった


「潤と藍姫、良かったよな
やっと想いが通じ合ってさ」


親友を思い遣る、翔様の優しい微笑み
同じく僕も微笑んで
何度も何度も頷いた


「藍姫、此処の子らを解放してやりたいって思ってるんだって?」

「はい、」

「和也と琥珀もそう思ってるのか?」

「…幼い部屋子達を見ればやはりそう感じてしまいます…
特に慧は、楼に来た時から私に付いてくれております故…
あと数年で十四を迎え、私達と同じ様に紅を引くのだなと思うと…
あの可愛らしい笑顔が消えて無くなるのではないかと不安になります…」

「だよな…
俺が言うのもなんだけどさ
本来ならもっと子供らしく生きるべきだよな…」


暫しの沈黙が流れた
翔様にも思う所があったのだろう


「藍姫んとこの部屋子も
琥珀んとこの部屋子も
純真無垢って感じだもんな…
藍姫が自分に責任を感じてるのも、なんとかしてやりたいし…」

「お願いばかりで申し訳ないと思っております
なれど、翔様
今一度、お知恵をお借り出来ませんでしょうか」


僕は翔様に向かい
三ツ指を突いて頭を深く垂れた


「そんなんいいって!
ほら、頭上げて?
俺だって和也の願いなら叶えてやりたい。
どうすればいいのか、潤とも話し合ってるんだよ
アイツは俺以上に考えてる
それで…一つ、和也に頼み事があるんだけどさ」





翔様が僕にした、頼み事
それは、楼主様に会わせて欲しいという事だった

普段、お客人が楼主様と顔を合わせる事は無い
揉め事があった時も、対応するのは雅紀さんで
よっぽどの事が無い限り
楼主様が表立ってお客人と相対する事は無いのだ


「楼主様にお会いして、どうするのですか?」

「聞いてみたい事があるんだよ
櫻井俊の息子が話をしたいと言っていると伝えてくれればいいよ」


翔様は何を考えていらっしゃるんだろうか


翔様がお帰りになられた後
僕は早速、言われた通りに
雅紀さんを通じて楼主様にそれを伝えた


その機会は思うよりも早く実現する運びとなり
真に驚いた
楼主楼が首を縦に振るなんて
翔様のお父様とはどれ程凄いお方なのだろうか…
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