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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第1章 かりそめの遊艶楼


❦ 櫻井Side ❦


楼から出ると駐車場に向かって歩きながら
俺達は今後のことを話し合った

冷静に、真剣に…和也の為に


「さて、忙しくなりそうだね」

「悪いな…大変そうなのに」

「何言ってんの
翔くんだって大学とかさ、色々あって大変でしょ?
俺が手伝いたいって言ってるからいいんだよ」


ニカッと笑う潤
俺もつられて笑ってしまう


「よろしく頼むよ」

「もちろん、友達とその大切な人の為だもん」


こういうことをさらっと言える潤はすごい
すげぇかっこいい


「潤はさ…」

「うん」

「藍姫を身請けしないの?
その…金は掛かるけどさ、傍にいたいって…」


横で歩いていた潤がピタリと止まる

あれ?と俺も足を止めて
なんとも言えない表情をする潤を見つめた


「潤?」

「…藍姫にはね、想う人がいるんだよ」

「え…いや、だってさっきの藍姫見てたら…
琥珀だってさ、押してくれてるみたいな」

「俺じゃないんだよ
初めて会った時からもう、藍姫の心にはいたんだ…
でもね、俺からいいって言ったの
それでもいいって…会いに来るねって」

「…それでもって…いやいや、そんな顔し…」
「俺のことはいいから、ね?
早く行動起こさないと身請けされちゃうよ?」


俺の言葉を遮って、また歩みだした潤の腕を掴む


「なんでだよっ
琥珀に言われた時、嬉しいって言ってたじゃねぇか
好きなんだろ?藍姫が」

「…好きだよ?でもダメなんだよ
さっきみたいに肩に触れたり、頬にキスできたりしても
翔くん達みたいに…心は繋がらないんだ」


笑ってるけど、どことなく悲しそうで
掴む手に力を込めた


「なんでそんな諦めてんだよ…
さっきの藍姫見たろ?お前を見て笑う藍姫を見たろ?
あんなん、好きって言ってるようにしか…」
「俺はね、会えるだけで嬉しいんだよ
藍姫を抱き締められて…望めば身体も重ねられて
それで幸せなんだ」


また遮られて、嘘だらけな言葉を聞く

そんなん本気で言ってないことぐらい分かる
相手のことを考えられる今の俺には分かるんだ


「さ、早く行動に移すよ」


俺じゃダメだ
藍姫からちゃんと、明確な言葉を言われない限り潤はこのまま…

スタスタ先を行く背を見て
助けられっぱなしの俺は、潤に何もしてあげられないのかと項垂れた
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