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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第1章 かりそめの遊艶楼


❦和也Side❦



「翔様…」


身体を預け、目を瞑れば
嘘のように夢見心地だ

想う人に想われ
守られ
こんなに幸せなことってあるだろうか



「喜多川グループのことは勿論知ってるけど
畑違いだから、なんの情報も無くてごめんな
潤なら何かしら知ってると思うんだよな…

…そうだ。
この時間が終わったら、延長するから潤と藍姫をここに呼ばないか?
和也の太夫昇進祝いをしたいとか言って
宴会を装えばイケんだろ?」

「それは可能ですが…
藍姫様と松本様を、ですか…」

「…俺が藍姫に会うの、嫌か?」

「いえ、そんな」


いくら翔様が元々藍姫様をご指名していたとはいえ
今は僕だけを想ってくださっているのは十二分に解っている
それに、ご友人である松本様の藍姫様への想いを
翔様は応援して差し上げているのだから…


「よし! んじゃ、琥珀も呼ぼう」

「えっ! 琥珀様もで御座居ますか?!」


「琥珀の時間は俺が買うから。
情報交換と作戦会議だよ
和也の為だけじゃない
俺の為でもあるんだ
それに…」

「それに…?」


「皆、俺達の為に協力してくれてるんだから
きちんと頭下げて御礼が言いたいしさ」



…嬉しかった

翔様程のお方が、身体を売る魅陰に頭を下げて御礼を言いたいだなんて…
きっと、藍姫様も琥珀様も真に驚かれることだろう


「真に…良いので御座いますか…?」

「あぁ。俺がそうしたいんだ
誠意を形にしたいんだよ。
そうと決まれば、このことを部屋子に伝えてくれるか?」


襖の向こうに控えている慧を呼び
要件を伝えた



「さて…
それまでは二人っきりの時間だよ?
…行こう、和也」


共に手を取り立ち上がると
翔様が僕をヒョイっと抱き上げた


「わぁっ!…しょっ、翔様っ!」


足をバタつかせるも
逞しい翔様の腕はしっかりと僕を抱き抱えていて。


「ふはっ。顔が茹でダコだよ?」

「だって…」


こんなこと、された事もない


「ほら、腕を首に回して?
落ちない様にしっかり抱きついてろよ?」


コクコクと頷き
言われるがままに腕を翔様の首に回すと
優しい笑みを向けられ
胸がキュンとした


「好きです、翔様…」

「あぁ。 俺も好きだよ、和也」


褥部屋の布団にそっと降ろされると
尚もその腕に力を込めて引き寄せ
深く、深く、口付けた
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