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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2


❦智Side❦



懐かしい景色が広がる
象徴的な三角屋根の外観はそのままのブラウン色のレトロな洋館
中に入れば紅格子は取り外され
大幅にリノベーションされてるんだよね…


「智? どうかした?」

「ううん。なんでもないよ」


此処で過ごした長い月日
振り返れば辛かった事も多かったけど
それだけじゃなかった
此処があったから、潤さんと出逢えた


「バスケット、持つよ」

「あっ…ありがと、」


仲良く手を繋いで歩く二人の背中を見つめながら考える
皆はなんて言って出迎えてくれるんだろう

“いらっしゃい”
それとも
“お帰り”…?


櫻井さんがインターホンを押す
これも後から付けたんだね


『はーい。今開けまーす!』


聞こえてきたのは健ちゃんの声
…懐かしいな。
此処には、変わらないものもあるんだ


「いらっしゃい。櫻井さん、松本さん!
…お帰り、さとちゃん。和也」

「健さんっ!」


和也が笑顔で健ちゃんとバグをする


「相変わらずちっちゃいなぁ、和也は」

「け、健さんの方が小さいではないですかっ…!」

「どっちもどっちだろ?」

「どんぐりの背比べだね」


潤さんと櫻井さんが笑えば
皆もつられて笑う
一瞬にしてあの頃に戻った気がした


「さとちゃん」

「健ちゃん、」

「お帰り、さとちゃん」

「…っ、ただいま、健ちゃん」


嗚呼、此処はこんなにも温かい
お帰りの一言が、温かい
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