第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
「さぁ、入って?
皆ソワソワして待ってたんだから!」
「へぇ…中庭まであるんだな」
玄関には下駄箱があり、それぞれの名前が書かれている
中庭には花壇やベンチもあって…
「いいね、凄くいい」
「でしょ?学校ぽさは否めないけど」
子供達が過ごしやすいようにと潤さんが色々考えてくれて
話には聞いていたけど、僕も和也も櫻井さんも見るのは初めてで
淡い木の色を基調とした明るくて清潔なこの施設が
皆の憩いの場所なのだと思うと心から嬉しかった
「「「智さん! 和也さんっ!」」」
数人の男の子が僕達を見付けて駆け寄り、腰に抱き付く
「わわっ…!」
「皆、元気にしていましたか?」
「はいっ! 智さんは?」
「ふふっ。僕も元気にしていたよ」
一人づつ頭を撫でてやると
嬉しそうに微笑んだ
「なんだよ〜、和也と智ばっかり…」
「翔くんもハグされたかったの?」
「ち、ちげーわ!」
早く早くと手を引っ張られて大広間へ行くと
「和也さん…!」
「慧…!元気にしていましたか…?」
「僕は元気です。和也さんもお元気そうでなにより…」
慧と和也の涙声が胸にジンと響く
慧の後ろには光一さんや太輔、元魅陰たちの姿もあって
皆、目を細めてその姿を見守っていた