第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
最上階のスイートルームは広すぎてなんだか落ち着かない
「へぇ…いいとこじゃん」
「凄いです…」
「ウチよりも?」
拗ねたように尋ねられて、ブンブンと顔を横に振った
「冗談だよ。
さすが今井グループ…調度品も良い物ばかりだ」
僕には何の知識も無いけど、この部屋にある全てのものが高級品である事くらいは察しが付く
「和也」
差し述べられた手を握ると急速に引き寄せられ、ギュッと抱きしめられて
「翔さん…」
心地良い胸の温かさに安堵する
「ホントは夜まで我慢するつもりだったんだけどな」
「僕もそのつもりでした」
「どうしようもないな、二人して」
「ふふっ…気持ちは抑えようがありませんから、」
目が合うとどちらからともなく唇を寄せて
そっと重ね合った
「フォークとナイフ、だいぶ上手くなったな」
「翔さんがマナーをきちんと教えて下さったから」
用意された昼食は食べ切れないほどの量で、どれも美味しくて
「うん、美味い。
でも和也にはちょっと多いかな?
無理しなくていい。食べられるだけでいいからな」
「はい、」
「この後運動しなきゃだし、動けないんじゃ困るだろ?」
「翔さんてば、もうっ…!」
こんな時の翔さんは意地悪だ
今更恥ずかしがる事でもないのに
何年経っても慣れないんだから困ったものだ