第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
「悪い! この埋め合わせは必ずするから」
『ったく、うちはラブホじゃないっつーの!』
翔さんが電話をしている相手は、ご友人の翼さん。
ホテル経営を手広くされている方で、お爺様の代から深く関わり合いがあるとか。
まだお会いした事はないけれど、男同士である僕達の事を理解してくれている大切な友人の一人だと聞いていた
『スイートの一つや二つ抑えるくらいどうってことないけどさ。宿泊はしないんだよな?
昼飯は?まだなんだろ?』
「あぁ」
『んじゃ、ランチの用意もさせとくから』
「悪いな、翼」
『いいってことよ。
その代わり今度、サクショーの可愛い子猫ちゃん紹介しろよ?』
電話から漏れてくる声に思わず赤面する
「茶化すなよ! 俺の大事な伴侶だ」
『わかってるって。
ま、大切にしたい人が居るのはいい事だよ。
カズナリ君だっけ? 大事にしてやんなよ』
「分かってる」
翔さんが僕の顔をチラッと見るから、恥ずかしくなって俯いた
今からホテルの一室を取りたいだなんて…その意味を翼さんに知られているのに、お会いしたらどんな顔をすればいいのか…
『濃厚な昼をお過ごしくださーい』
「うっせ! じゃあ、よろしく頼むな?」
電話を切ると、翔さんがはぁ…と溜息を吐くからほんの少し不安になる
「翼のヤツ、絶対楽しんでる…」
「えっ…?」
「ボードの引き出しに翼からのプレゼント用意しとくってさ」
「プレゼント?」
「それで濃厚な昼を過ごせって」
濃厚な、なんて…
顔から火が出そうだった