第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
来た道を戻り、車に乗り込んで時計を見ると、此処に着いてから丁度30分が経過していた
「疲れたか?」
「ううん、大丈夫ですっ」
「眠かったら寝てていいからな?」
案の定、和也は10分後にウトウトし出し
花畑を横切る頃には完全に夢の中で。
ブランケットを掛けてやると、一瞬ピクリと動いて
その後へニャっと微笑った
…幸せな夢、見れてるといいんだけど。
「和也、着いたよ」
AM9:55
目的地に着き、和也を優しく揺り起こす
「…んーっ……」
「起きれるか?」
「ん…」
「起きないとちゅーするよ?」
「ふぇ…? しょ、さん…?」
ふは。呂律回ってないし。
可愛いな
「皆に土産、買うんだろ?
店に着いたから降りよう?」
「わっ…!
僕ばっかり寝ちゃってて…ごめんなさい」
「気にすんな。
俺も可愛い和也の寝顔見れて得したし?」
つい襲いたくなったのは内緒にしておこう
「お土産は何ですか?」
「ケーキだよ」
「ケーキっ…!」
和也の顔にパッと花が咲いた
楼に居た時、客が手土産で買って来た事はあっても基本的に持ち込まれた食べ物は廃棄していたらしくて。一緒に住むようになってから食べたい物を聞いた時に
“ケーキを食べてみたいです”
と言ったんだ
楼の食事は基本、和食で…デザートと言えばフルーツ。
甘いスイーツはプリン位しか知らなかった。児童養護施設となった今でもそこは大きく変わらないだろう
やっぱり、土産をケーキに決めて正解だった