第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
林の一番奥には小さな社が佇んでいて
マイナスイオンはパネェし、浮世離れしていてトロールとか出て来そうだし…
「月読神、か」
「ツクヨミノカミ…神様のお名前ですか?
“奏月”の“月”と同じですね」
知ってた訳じゃないけど…此処に和也を連れてきて良かったと思う
「和也は月に縁があるんだね」
「えん、」
「そう。縁。」
「はい。僕はお月様に縁があります」
縁(えにし)の意味を知ってか知らずか
愛おしそうに社を見つめる和也の横顔に
出会った頃の面影を重ねた
「お参りしようか」
手水舎で手と口を洗い清め
神前に向かい、二礼、二拍手をすると
和也もそれを真似る
“どうかこの先もずっと、和也と一緒に暮らせますように…”
最後にもう一度一礼すると、顔を見合わせて微笑んだ
「和也は何をお願いしたんだ?」
「んふふ…内緒です」
「じゃあ俺も内緒!」
聞かなくたってわかるよ
きっと俺と同じ様に願ってくれたんだろう
「さぁ、戻ろうか」
「はい、」
「次は蕎麦屋が開いてる時間に来ような?」
「嬉しい…! また連れてきてくださるんですね」
「もちろんだよ」
何処へだって連れて行くよ
お前が行きたい所なら
月にだって連れて行ってやりたい位だ