第8章 ❦ SPECIAL THANKS ❦
「縁、切ってきた」
「は…?」
「ま、正確に言うと勘当されたんだけど」
驚いて言葉も出ない俺に
実は… って、これまでの経緯を話してくれた
「前にも言ったじゃん? こういう事、初めてじゃないんだ
勝手に見合いの席をセッティングされてさ。
今回に限っては完全にハメられたわけよ。策略もいいとこ」
「それで…一人で毎晩、説得に行ってたって事…?」
「そういう事」
「なんで先に話してくれなかったんだよ!
言ってくれてたら、俺…!」
俺が被害妄想で浮気疑って落ち込んでる間に
翔は一人で闘ってたのに、
「黙ってて悪かったよ。
でももし先に言ってたらお前、また自分を責めて俺の前から消えようとするだろ?」
「…」
図星だった
「不安にさせてごめんな?
一人にして…悪かったよ」
逞しい腕にふわりと抱かれて
目頭が熱くなる
「いい…けどっ…
俺の事より翔だよ!
それでなんで勘当なんて話になるんだよ?!」
「…潤の事、話したんだ
ずっと一緒に居るって約束した恋人が居るって。
その人は同性だって事も話した」
抱きしめられたままだから
今、翔がどんな顔で話してるのかは分からないけど
声で…察しは付く
「…バカじゃん……」
「俺は至って大真面目だっ!」
「バーカ…」
どうしよう
とてつもなく、嬉しい。
涙が…温かい。