第8章 ❦ SPECIAL THANKS ❦
❦ 翔Side ❦
「性懲りもなく、毎日毎日…
もういい加減諦めないか」
「嫌です…
父さんが首を縦に振ってくれるまで絶対に諦めません…!
父さんの顔に泥を塗る事になるのは分かっています。でも…!
彼女とは結婚出来ません」
父さんから突然呼び出され、向かった先に彼女は居た
彼女と彼女の両親
父さんと…申し訳なさそうに俯いた母さん
そこが見合いの場だという事に気付くのは容易だった
…それが、一月前の事
「容姿も身分も申し分ないじゃないか
有り難い事に先方はお前の事を気に入って下さっている
何がそんなに不満なんだ」
「確かに彼女は素敵な人だ
でも…ダメなんです
お断りさせてください。お願いします…!」
今まで何度も何度も、実家に足を運んだ
その度に『帰れ』と一蹴されて
それでも父さんが首を縦に振ってくれるまで
俺は諦める訳には行かなかった
「帰りなさい」
「父さん、」
「帰れと言っているんだ!」
「あなた…これじゃあんまりです…!
翔の言い分も聞いてやってください
私達だって…! 親の反対を押し切って…」
「お前は黙っていなさい」
「翔、あなた他に好きな人がいるのね…?」
「…」
「そうなのか」
「…そうです、」
「別れなさい。今すぐに」