第8章 ❦ SPECIAL THANKS ❦
トレーニングを終えてシャワーを浴びた小山くんは、両手にキャベツの入ったレジ袋をぶら下げて笑顔で帰って行った
「聞いてたか?」
「何をです?」
「明日休みだってよ、櫻井さん」
「…」
「という訳で松本くん。君にも明日、休暇を与えよう」
「は…?」
何を言い出すんだ、この人は。
「新じゃがで仲直り出来たんだから
キャベツでもできる筈だっ!」
なんだよ、その持論…
ってか、喧嘩じゃねぇっつの。
「You、仲直りしちゃいなyo!」
何キャラだよ、山口さん…
結局俺は、明日のシフトに無理くり休みを入れられて。
「こんなにキャベツばっかりどーすんだよ…」
大玉のキャベツが4玉
今日はロールキャベツでもしようか
明日は回鍋肉かな
思い付く限りのキャベツ料理をここ数日間の夕飯の候補に挙げながら
人参、挽き肉、コンソメ
必要な材料を次々に買い物カゴに放り込で行く
ニラとネギの区別はつかなくても流石にキャベツとレタスの違いくらいは分かるよな…?
なんて
何かにつけて翔の事ばかり
悔しいけど、惚れてんだ
元々、一人にそんなに入れ込む方じゃなかった
来る者拒まず、去る者追わず。
ずっとそのスタイルで来てたのに
翔と出逢って、好きだと気付いたあの日から
一途に… 真っ直ぐに…
翔だけに想いを傾けて来たんだ