第8章 ❦ SPECIAL THANKS ❦
❦ 潤Side ❦
携帯のアラームの音で目が覚めた
サイドテーブルの上にはペットボトルのミネラルウォーター
翔… 帰ってきたんだ…
帰ってきて… くれたんだ…
のろのろと起き出してリビングに行くと
調理台の上に置いたはずの皿の上のオムライスはキレイに無くなっていて、その代わり
“ごちそうさま。美味しかったよ アホな翔より”
一枚のメモが残されていた
走り書きの、お世辞にも丁寧とは言えないその文字に思わず笑みが溢れる
だけど
嬉しかったのはほんの束の間
結局この日の夜も
その次の夜も
翔と顔を合わせる事は、無かった
「ちょっとぉ〜
松本センセ〜、最近お肌の調子良くないみたいじゃなぁい〜?」
「そう、ですか?」
お肌の調子、って。
俺は女子じゃねぇっつの。
「豊田さんはいつもお綺麗ですよね?」
「や〜だぁ〜♡♡♡
松本センセったらもぉ〜 背負い投げぇ〜♡」
本当に背負い投げされそうで怖い
「一幸さん、ほら、松本くん困ってますよ?」
山口さんが助け舟を出す
カズユキさん、て
本名言っちゃ…
あ。
「やっだぁ〜♡ 本名禁止ぃ〜♡」
その言葉と同時に
豊田さんが照れて肩をどついた勢いで、山口さんは3メートルほど吹っ飛んで行った