第7章 Eternal Burgundy
「…もしかして美味くない、とか?」
「いや、最高に美味いワインだよ?」
「そっか。なら良かっ…」
「翔も飲んだことあるじゃん」
「え…?」
「昔、俺が飲ませた」
流石に気付いただろう
これが…あの時のワインだったって事
「…っ…… ははっ…そっか、だからか」
一人で何かに納得したかの様にフッと微笑う
「…試飲出来ないから色と香りで選んだんだよ
普段ワインなんて飲まないのに…懐かしい香りだなって思ったんだ」
「忌まわしい、の間違いだろ?」
自分で言っていて…胸が、苦しい
「なぁ、潤…」
「ん…?」
「教えてくれよ」
「何を…?」
「どうして…あんな事したのか、」
はぁ…遂に、か…
いつか聞かれるんだろうなとは思ってたから
答えの用意はしてたよ
「どうして、って…
言ったじゃん
俺は酒を飲むと誰彼構わずヤりたくなるんだ、って
あの時目の前に翔が居たから。
理由はそれだけだよ」
「…嘘だ」
「嘘じゃねぇし…」
翔が徐ろに立ち上がり
キッチンから持ってきた Eternal Burgundy を目の前にドン、と置いた
「だったら今俺の目の前で飲んでみろよ?」
…なんて事を言い出すんだ