第7章 Eternal Burgundy
❦ 潤Side ❦
無意識に選んだんだろうか
それとも…
翔がお礼にと買ってきてくれたそのワインは
昔、俺が好んで飲んでいた高級ワイン…
ホストを辞めてからもう何年も飲んでない
手軽に買える金額じゃないしね…
『じゃあ』と背中を向けた翔を引き留めたのには
自分が一番驚いていた
そんな資格無いのに…
素直じゃない俺は、上から目線でしか言葉を紡げない
『俺は別に構わないけど、』
あの頃から進歩してない
少しは大人になったつもりでいたのにな…
「っ… 潤がそんなに言うなら…ちょっとだけ、」
良かった
翔も…変わってなかった
「どうぞ?」
「…お邪魔します」
「あの頃よりだいぶ部屋、狭いけど」
玄関を入ると直ぐに猫の額ほどのキッチンがあり
その先がリビング兼、ダイニング兼、寝室のワンルーム
「相変わらずキレイにしてんな」
「あんま見んなよ」
キョロキョロと部屋を見渡されてなんだかくすぐったかった
「インスタントで悪いけど」
「ありがとう」
翔がマグカップを両手で包み、口を付けた
「…なぁ」
「ん…?」
「アレってわざと?」
「…何が?」
「ワインだよ」
キョトンとしてるとこを見ると
やっぱりただの偶然だったのか