第7章 Eternal Burgundy

「ありがとうございました
またのお越しをお待ちしております」


買っちゃった…
ちょっと高かったけど、あの色と香りに魅せられて即決してしまった


「喜んでくれっかな…」


浮ついた気分のまま車を走らせ
ワインの入った紙袋を持ってジムへと向かう






「櫻井さん！」

「あっ、山口さん」

「大丈夫なんですか？！　昨日、倒れたって…」

「あー…　疲労と寝不足が重なったみたいで
ご迷惑をおかけしました
それで、あの…今日はじゅ…松本さんは、」

「松本君は今日お休みですよ？」

「休み…」

「それ、松本君に？」


山口さんの視線がワインの紙袋に移るから
慌てて後ろ手に隠した


「いやっ…」

「わかった！　ちょっと待っててくれますか？」

「えっ？！」


山口さんが笑顔で奥のスタッフルームに消えていく
なんか嫌な予感がするんですけど…

数分後


「お待たせしました！
ハイ、これヨロシク！」


渡された一枚の紙切れと…レジ袋に入ったジャガイモ。


「…なんですか？」

「何って、
松本君ちの住所書いたメモと新じゃがだけど？」

「いや、ジャガイモはわかりますけど！」

「オーナーに頼まれたって言えばキッカケになるでしょ？
さっき電話して新じゃが届けるねって言っといたから！　あっ、でも櫻井さんが行くとは言ってないけどね？」


山口さんは…何故か笑顔だ