第7章 Eternal Burgundy
就業のメロディーが流れると同時に
パソコンをシャットダウンして席を立つ
「お先に」
ニヤニヤして親指を立てる小山を無視して
俺は地下駐車場へと向かった
昨日あのあとやっぱり眠れなくて
ネットで調べものをしていた
潤にちゃんとお礼がしたくて
何がいいかと探していた時に偶然見つけた、ワインの専門店
此処なら…潤の好みのワインがありそうだ
俺はナビに入れたその場所に向かった
ワインを買って…ジムに寄って渡そう
今日はそれで帰ろう
そう思っていたんだ
「いらっしゃいませ」
ワインの知識なんてまるっきりなくて
どれを選んでいいかわからない
「プレゼントなんですが、オススメとかありますか?」
「そうですね、コレなんか如何でしょう?
宜しければ試飲してみますか?」
「いや、車なので…」
「では、香りだけでも」
幾つかのワインをカップに入れてくれて
一つづつその香りを嗅いでみる
…違いがわかんねぇし香りだけで酔いそうだ
小山に付き合ってもらえば良かったかな
そう思った時
「宜しければ、こちらもどうぞ」
新しく持ってこられたワインのその色が
なぜだかそれまでのものと全く違う色をしている様に見えて
「コレは?」
「ブルゴーニュワインの中で最も品質の高い
『Eternal Burgundy』でございます」
「Eternal Burgundy…」
そのワインは何故か…懐かしい香りがした