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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第7章 Eternal Burgundy


“一度ちゃんと話し合ってみろよ?
その方がスッキリするぞ?”


山口さんの言葉が蘇る
分かってるんだよ、そんな事…

俺が翔の親父さんに脅されていたことを翔は既に知っている
翔の前から消えた理由
それ以外に、


「知りたいのは…翔を無理矢理抱いた理由しかないよな…」


気持ちを伝えた事は一度もなかった
あの頃の俺は…好きだなんて言えなかった
そして
無理やりアイツを抱いた
死ぬ程憎んで嫌われれば、翔の方から離れていくと思った
俺からは…どうしても手放してやれなかったから
それ程、翔の事が好きだった
愛していた

そう思っていたけど
違ったんだ
身勝手だけど
例え傷付ける事になるとわかっていても
俺という存在を翔の記憶の中に残しておきたかった
憎しみでもいいから…翔の中に…






翌日
俺はいつもより早くに出勤した
こんな時間に…翔が来るわけないのに

昨日だって、ジムに来たのは20時過ぎだ
それを、まだ夕方にもなってない時間から出勤するって
遠足当日に限って早起きする子供と一緒じゃんか


「フッ…」


なんだか笑いが込み上げた
何やってんだ俺は

翔のタオルからは、ウチの柔軟剤の香りがしてる
別に変な意味は無い
汚れたまま返すのが…忍びなかっただけだ


PM 17:30
定時で仕事を終えたサラリーマンの姿がチラホラし始めた頃


「…っはぁ…はぁ…」


開いた自動ドアから
息の上がった翔が、脇腹を抑えながらフロントに入ってくるのが見えて
…トレーニング前に、何走って来てんだよ


「はぁ…はぁ… こんばんは…?」


何故か疑問系の挨拶と笑顔は
確かに俺だけに向けられていた
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