第7章 Eternal Burgundy
❦ 翔Side ❦
潤の顔が、みるみる歪んでいく
苦しそうに
悲しそうに…
「そりゃ…憎いよ」
その顔を見ながら言ったら、潤は更に顔を歪ませた
「当たり前だろ。あんなことされて…男の俺にあんなことしといて…憎まない方がおかしいだろ。…でも」
でも、俺が本当に憎んでるのはそこじゃない
潤だって何も分かってない
「俺は潤が…何も言ってくれなかった、そっちの方が……悲しかったんだよ」
会えなくなってから5年以上
その悲しみが取れることはなかった
なんで言ってくれなかったんだ…
なんで離れてく道を選んだんだ…
順風満帆に過ごしながらも心の片隅にはいつもそれがあって
辿り着く答えはいつも、それは俺の為
俺のせい…
「……」
潤は口を噤んだまま…俯いてしまった
それを見たら俺も何も言えなくなって
同じように口を塞ぎ、頭を垂らした
数分後
「お待たせしましたーって…あれ」
「おーおー、どうした2人共」
俺達の前に現れた小山と山口さん
その2人の声に俺と潤は顔を上げた
「ちょっと疲れちゃいまして」
潤が笑えば
「…同じく」
隣で、俺も笑って見せた
その後は何事もなかったかのように…
潤は小山のインストラクターをしていて
俺はもう…その姿を目で追うことはしなかった