第7章 Eternal Burgundy
俺はウザいくらいにソイツにまとわりついて
最後に最大のヒントを与えて店へと戻った
流石にもう気付いたよな?
しっかし、あの引き攣った顔…
『プッ…』
思い出すとちょっと笑えた
『直ぐだ、って言ったのに
おーそーいー!』
『ゴメンね?
知り合いに会っちゃってさ』
『知り合いって、女?』
『男だよ』
『ホントに〜?
その割にはなんだかご機嫌じゃない?』
『そう? そんなことないよ』
名前も知らないアイツとのやり取りが
思いの外俺を上機嫌にさせていた様だった
『おばちゃん、A定食一つ』
翌日
学食でおばちゃんに注文を告げていた時
『俺も』
隣りから割り込むように声が重なって
イラッとして横を睨み付けると
涼しい顔をした…アイツが立っていた
『昨日はどうも』
ニコリと笑う
でもその笑みは…不敵な笑みだ
『気付いたんだ?』
『そりゃ気付きますよ』
『はい、A定食お待ちどう様〜』
『あ。ありがとうございまーす』
『ちょ!それ俺んだけど?!』
『もう一個来ますよ?』
『俺が先に頼んだんだっつーの!』
何だコイツ!!
俺のA定食返せっ!!
当たり前のようにトレイを受け取り
ソイツは窓際の席に座った
『はい、もう一つね〜』
『サンキュー、おばちゃん!』
文句の一つも言ってやる!
慌てて後を追って
ソイツの目の前の席にトレイをドン、と置いた
『相席ですか? どうぞ』
目線を寄越すとニコリと笑って
そしてまたすぐに分厚い本へと視線を戻す
コノヤロー…
その貼り付けたようなキラキラスマイルをやめろ!
そして飯食う時まで勉強してんじゃねぇよ!