第7章 Eternal Burgundy
大学時代、俺は高校の後輩の北山に誘われて
ホストをしていた
『金、貯まりますよ?
ウチでバイトしてみません?
潤さんならナンバーワンも夢じゃないっ!』
そんな風にほだされて
給料の高さに惹かれて軽い気持ちで始めたホスト
女に媚を売るなんて性に合わないと思っていたけど
そんな思いとは裏腹に
俺は一年足らずでナンバーワンへと登りつめた
“大学卒業と同時に自社ブランドを立ち上げる”
アクセサリーのデザインに興味があった俺が描いた、漠然とした夢
畑違いの大学に入ったのは
どこでもいいから取り敢えず大学を卒業すれば
あとは好きにして構わないと親父に言われたからだ
『タバコ切らしたの?
あぁ、それ店には置いてないや
俺買ってくるよ』
『えぇ〜
宏光に行かせたらいいじゃない?』
『俺が買ってきてあげたいの。
待っててよ、直ぐだから。ね?』
耳元で囁やけば
大概の女は目をハートにして頷くんだ
甘ったるいオーデコロンの匂いから解放されたくて
俺は時々こうして店の外に出ていた
いつものコンビニに入ると
片手におにぎり、もう片方の手にはサンドイッチを持って
どちらにしようかと真剣に悩んでいる、迷彩柄のハーフパンツにサンダル姿の怪し気な男が目に止まった
『あ、あの時の』
思わず口を突いて出たのは
お世辞でもオシャレとは言えないその格好とは不釣り合いな
爽やかな横顔に見覚えがあったからだ
『え…』
…わかるわけ、ないか
俺、こんな格好だし?
しかもなんかビビってる?
うん、これは面白い。