第7章 Eternal Burgundy
❦ 翔Side ❦
『ええっ?! いきなり?!
ちょっ…鬼! 鬼じゃないですかっ…!
速い速い速いっ…!』
聞こえてくる小山の悲鳴にちらっとそっちを見れば、バチッと潤と目が合って
あ、やば…
俺は直ぐ様目を逸らし、また、ランニングマシンへと視線を向けた
「速度はどうですか?」
優しく尋ねてくる山口さんに「大丈夫です」と微笑み掛け、走ることに集中する
が…やっぱり、そっちの声に耳は反応してしまう
『はぁ…はぁ…松本さん。次…次行きましょうよ…』
『はいー、後5分頑張ってみましょう』
『松本さぁん…』
…聞いてると、小山が居たたまれなくなってくる
よくあんなんで『やってみると結構楽しいですよ』なんて言えたもんだ
すげぇハードじゃん
ってそれは、担当が潤だからなのかもしれないけど
…アイツドSだからなぁ
「櫻井さん。ちょっとスピード上げますねー」
「あ、はい」
山口さんがボタンを押すと、マシンの速度が上がった
「きつい?」
「いえ…ふぅ…大丈夫です」
「うん。じゃあしばらくこれで」
「はい」
言われた通りそれで走って
たまに首にかけたタオルで汗を拭って
そうしながらも俺は…潤をちらちら見てしまっていた
その横顔も、声も、口調も…ドSなところも
なんも変わってねぇな、潤
全部あの頃のままだ
全部…
出逢った日から変わってない