第7章 Eternal Burgundy
「先輩とは仲良かったんですか?」
「えっ?!」
走りながら
余裕の様子で質問されたその内容に
俺は動揺した
「いや…
学部も違うし…
しょ…櫻井君とは顔見知りってだけで、」
「そうなんですか?
名前で呼んでたから友達同士なのかと思いましたよ!」
あぁ、そうだった
あの時思わず呼んでしまった、翔の名前
「っ…ほら!
そんなのいいから、いいから!
スピードアップしますよー?」
「ええっ?! いきなり?!
ちょっ…鬼! 鬼じゃないですかっ…!
速い速い速いっ…!」
今度は小山君の声に翔が反応して
チラリとこちらを見るから目が合った
「下げてぇ…
速度下げてぇぇぇ…」
「イケる、イケる!
集中しましょうね、小山君」
蘇る、翔との記憶
『潤。今のはちょっと可哀相じゃなかったか?』
『いいんだよ、まるで興味無いし』
いつもの様に翔と街をブラブラしてた時
声をかけてきた二人組の女を蹴散らした事があった
『あ、もしかしてあの子達と遊びたかった?
じゃあ今から言ってきてやろうか?』
『なんでそうなるんだよ!
俺はただ…もっと言い方ってもんがあると思って…』
『逆ナンなんかして来る女のが悪ぃんだよ』
『…潤って見たまんまドSなのな』
『翔には優しいだろ?』
『そーゆー俺様な所がドSなんだっ!』
あれから6年近くが経っても
“やっぱり潤はドSだ”
って思っただろうか
なぁ、翔
実際、俺は
ちっとも変わっちゃいなかったのかも知れない
ドSな所も…
お前への想いも、全部