第7章 Eternal Burgundy
送り主だけでも確認しておこうとメールを見たら、それはやっぱり父さんだった
画面を消し、コト…と机にスマホを置く
「……なぁ」
隣のデスクに向かって呼び掛けると
「はい」
キーボードを弾いていた後輩の小山がその手を止め、俺の方を向いた
「今日の夜さ、空いてる?」
「…空いてますけど」
「じゃあちょっと付き合って」
「えーまたですかぁー。昨日も行ったじゃないですかー」
怠そうに言う割りに、その顔は満更でもなさそうだ
「いいじゃん。暇だろ?」
「まぁ…暇ですけど」
「決まりな」
強引に約束を取り付けると、俺は自分の仕事に戻った
父さんからメールがあった日はいつもこうだ
小山を誘って、飲みに行った
…飲まずにはいられないだろ
いくら言っても父さんは聞き耳を持ってくれないんだから…ストレスが溜まんだよ
親子の問題なのに毎回付き合わせてしまって
小山には申し訳ないけど…
だって誘いやすいんだもん
すっかり暗くなった夜
俺達は切りの良いところで仕事をやめ、会社を出た
目指す場所はいつものところ
昨日も行った居酒屋だ
「いらっしゃい!」
「「こんばんはー」」
中に入ると適当な席に座って、早速ビールを注文した
言ってから数分も経たずにそれはさっと出てくる
「「乾杯!」」
カンッとジョッキを当て、俺達は渇いた喉を潤した
「っはぁー…」
「あぁ……染みますね」
「だな」
ジョッキを傍らに置き、お通しを口に運ぶ
咀嚼をしながら、小山と頼む料理を決めて
店員にそれを告げると俺達はまたビールを堪能した