第7章 Eternal Burgundy
❦ 翔Side ❦
上京してきて早5年
こっちの生活にはもうすっかり慣れた
「おはようございます」
「おはよう。…あぁ櫻井くん」
「はい」
「この間の取引の件だが…」
「あ、はい。それは…」
仕事の方も随分と慣れて…人間関係も良好
まさに順風満帆ってやつ
俺の毎日は充実していた
…ただひとつを除いては
の、話だけどな
「またか…」
自分のデスクに戻り、手に取ったスマホを見て…ため息を吐き出す
画面に表示されていたのは新着メールの知らせ
その1通は、開かなくても誰からなのか分かった
きっと父さんからだ
そして内容はこうだ
『見合い相手と食事をしてこい』
「はぁ…」
この間、無理矢理させられた"見合い"
俺は全然望んでなかったのに…
勝手にセッティングされて
勝手に話を進められて…
嫌だって何回も言ってるのに
その人とは付き合う気も、結婚する気もないと言ってるのに
父さんはしつこいぐらい、その見合い相手と俺をくっつけたがっていた
「これが無ければもっと充実してんだけどな…俺の毎日…」