第6章 ブラコンですが、何か?
頭より先に動いたのは身体の方だった
「ふざけんなぁぁあああ!!」
気が付けば
膝の上に跨る女の人をその場から引き摺り下ろし
しょーくんの胸ぐらを掴んでいた
「その気にさせてみろだって…?
ばっっかじゃないの! その気もないくせに何やってんの!」
「っせーな…! お前にはもう関係ないだろ!」
「関係あるよ! 大アリだよ!
だから此処に来たんでしょ?!
しょーくんが暴走したら… 今度こそ僕が止めるってっ…!」
とめどなく溢れる涙の意味がわからない
どうして僕は泣いてるんだろう
ただ、一つ
“今度こそ”
そんな風に思うのは僕の勝手で
しょーくんは望んでいないのかもしれないって
そう思ったら
酷く
酷く虚しかった
革ジャンを掴んでいた手を離すと
しょーくんの身体がドサッとソファーに沈む
「しょーくんはさ… 僕の事が嫌い…?
それとも、憎い…?」
「なんだよそれ…」
「答えてよ…」
いっそ
大嫌いだ、って
憎くてたまらない、って目の前で言ってくれたら
そしたらまだ僕は救われるのかもしれない
決定的な言葉で僕を突き放してよ、しょーくん…