第6章 ブラコンですが、何か?
❦雅紀Side❦
何だ、此処…
名前だけは知ってる。こーゆーのって、地下クラブっていうんだよね?
しょーくん、こんな所にいるの? 誰と居るの?!
階段を降りたドアの前
恐る恐る開けてみると
「雅紀くん!」
広いフロアの真ん中には、増田さんただ一人
「あの、しょーくんは…?」
「上に居るよ!
こっち! 早く、早く!」
鉄の階段を登ると重そうなドアがあって
「色んな音が聞こえて変なものが見えるかもしれないけど、気にしないで真っ直ぐ進んで!
一番奥に櫻葉センパイ居るから!」
「あのっ…! 増田さんは…?」
「俺はここまで。 雅紀くん、一人で行けるよね?」
「はぁ…」
「急いで!」
「わあっ…!」
増田さんに背中を押されて
反動で勢い良くドアが開いて、滑り込むように中に入った
部屋の中には背もたれの高い妖し気なソファーが並び、パーテーションで仕切られていて
その中からは…
甘い…?
いや
獣の様な男女のひしめき合う声が聞こえていた
さっき増田さんに言われた言葉を思い出して
耳を塞いで一番奥へと進む
良かった…ここからは変な声はしていない…
そう思った時
『翔、セックスしよ?』
女の声が聞こえて
『じゃあその気にさせてみろよ』
しょーくんの…挑発的な声が聞こえた