第6章 ブラコンですが、何か?
❦雅紀Side❦
突然目の前に現れた、見覚えのある顔…
身体中から血の気が引いていくのがわかった
そんな僕を見て、しょーくんも悟ったんだろう
あの日、僕を襲おうとしたのはこの人達だと…
無理矢理押し込まれた路地裏の建物の隙間から
僕はしょーくん達の様子を見守った
三人対一人なんて無謀だよ
しょーくんは何をするつもりなの?
僕が助けに行かなくちゃ…!
そう思うのに、足が震えて言う事を聞かない
フェンスに身体を預けるしょーくんの目の前を
三人が通り過ぎたその刹那
「ちょい待てや」
しょーくんのドスの効いた声が
ベチャクチャ喋っていた三人の足を止めた
「あぁ?」
「なんだ、テメ…!」
相手が言い終えるか終えないかのところで
詰め寄って来たソフトモヒカンにはグーパンを
茶髪の男には腹蹴りを同時に食らわせた
「粋がってんなよ、腰巾着が」
蹲る二人を他所に
躊躇することなく金髪の男に歩み寄ると
一瞬で手首を掴んだ
「うあっ…!」
「まだ痛むんだ?」
「…!」
「残念だけど、その手首
俺の為に残しといてくれたみたいなんだわ」
「は…?」
「まだわかんねーの?
トドメ刺すのは俺だってことだよ…!」
― バキッ ―
鈍い音が響いて
膝から崩れ落ちる金髪にしょーくんが馬乗りになり
ソイツの顔を…原型を留めないほどにボコボコに殴った
僕は声を出すことも出来ずに
目の前で繰り広げられるすざまじい光景を
ただ呆然と見つめていた