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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第1章 かりそめの遊艶楼


スマホをとって電話を掛けていた


『もしもし?』

「あ…悪い寝てたか?」

『いや、まだ起きてたよ』

「そう…あのさ、今からちょっと会えない?」

『今?』

「あぁ…今しかないんだ」

『んー…分かった』


通話の相手は潤

俺ん家から潤の家はまぁまぁ距離があるみたいだけど
中間の場所に車を飛ばして来てくれると言うのでそれに甘え、俺もこっそり家を抜け出し車を出した





「翔くーん」

「悪い、ありがとう」

「うわっ…お礼とか初めて聞いたけど」

「…俺、変われてきてるんだよ…」


街灯が1つしかない小さな暗い公園で
俺の心境の変化とか、和也の事とか…
潤に言ってない事をベンチに座りながら話していった


「え、明日?」

「うん…あっちに会社を設けるって話でさ
これも勉強の内だから着いて来いって…」

「大丈夫なの?もうこんな時間だけど…寝なくて」

「…寝れねぇんだよ…」


瞼を閉じると笑顔が浮かんで…
和也の事を考えちゃって…

ベンチからスッと立ち上がり
公園の脇に止めた車の助手席を開けると
家から持ってきた、両手で抱えられるサイズの箱を持ち潤の元へ戻った


「潤、これさ…和也に渡しといてくんないか?」

「…何それ」

「いいから、これも」


とりあえずベンチに置いて、その箱の上に白い封筒も置いた


「プレゼント?手紙付きで?
ふ…ねぇ1ヵ月なのにそんな、大袈裟でしょ」


……は?
なんだそれ、その言い方はなんだよ

にやつく潤の顔を見て頭に血が上っていった


「…何笑ってんだよ…」


相手の襟元を乱暴に両手で掴む

1ヵ月、和也と会えない…それだけでも寂しい

でも、それだけじゃない


「っ…1ヵ月の間に…
和也が何人の男に抱かれると思ってんだ!!」


荒げた俺の声が公園全体に響き渡った


「お前も、藍姫の事が好きなんだろ!?
……だったら…っ分かるだろ…」


…なんでだよお前

自分の顔が歪んでいくのを感じる


「潤だって俺と同じ…
あそこにいる子を想ってる同士だろ…」


その状態のまま俯いて
泣き出してしまいそうな感情を静めた


「……ごめん」


力のない声が頭に降り注ぐ
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