第6章 ブラコンですが、何か?
「この辺、変なの多いからサー
君みたいな可愛い子は気を付けないとね?」
「はぁ、」
「つーか、君、何年?
俺は中3なんだけどさ!
つーか、名前まだ聞いてなかったわ!」
増田さんはとにかくよく喋る。
人見知りの僕とは違って、人懐っこい犬みたいだ
「えと、僕は中1で、名前はさく…」
「着いた! ここ、俺んち!」
古いアパートの軒下に自転車を停めて
カンカンと鳴る階段を上がると
「入って、入って!
ほら、タオル!」
洗濯物干しから直接タオルを毟り取って
僕に投げ渡してくれた
「あ、ありがとうございます…」
「服貸すよ? なんならパンツも!
新しいのあったかなぁ〜?」
学ランを脱いだ増田さんの両腕には
いくつもの根性焼きの跡
不良…なのかな、
そりゃそうだよね
あんなに強いんだから…
「あの、僕やっぱり…」
「気ぃ使わなくていいって!
ここには俺しか住んでないし!」
一人暮らし?
中学生なのに?
なんだか色々ワケアリみたいだ
あんまり関わらない方がいいのかな…
そう思った時、軽快な音楽が鳴って
増田さんが制服のズボンのポケットから携帯を取り出した
「もしもーし! 櫻葉センパイ? お疲れっス!」
え…?
サクラバ先輩…?