第6章 ブラコンですが、何か?
「止めてくださいっ…! 離して…!」
しょーくん…!
しょーくん…!!
やだっ…こんなのやだっ…!
誰か…! 誰か僕を助けて…!
人通りの少ない物陰に引き摺り込まれそうになった時
「いーけないんだー♪ いけないんだー♪」
背後から歌声が聞こえて
「コーコーセーのお兄さん達、こんなとこで幼気な少年に何するつもりなんスかぁー?」
振り返ると、学ラン姿の黒髪の男の子がニコニコしながら近付いてきた
「なんだ? テメェ」
「俺は通りすがりの中坊っス!」
僕を押さえ付けていた三人のうちの一人が
傘を放り投げてその子に向かって拳を振りかざした
ヤバイ…! この人が殴られちゃう…!
僕は思わずギュッと目を瞑った
「そんなへなちょこパンチ、俺に通用すると思ってんスか?」
え…? 嘘…!
恐る恐る目を開けると
その人の左手が高校生の手首を捕えていて
しかも右手には普通に傘を持っていて
「オメェ、どこのモンだ…!」
「通りすがりの中坊だって言ってんだろーがよ」
さっきまでとは打って変わった、恐ろしく低い声に
そこに居た全員がギョッとする
「はっ…離せよっ…!」
「先ずはアンタらがその子離してやんのが先でしょ?
ほら、この人の手首折れちゃう前にさ」