第6章 ブラコンですが、何か?
「うっそ…マジ最悪なんだけど」
バスケの練習試合が終わって
区の総合体育館から出ようとした時には既に
小雨が降り始めていた
「雅紀、ウインドブレーカー持って来てねーの?」
「うん、忘れた」
「夕方雨降るって天気予報で言ってたじゃん」
「あ、天気予報見てないや」
…このくらいの雨ならなんとかイケるかな
最悪、駅まで行って電車で帰ればいっか
荷物の入ったエナメルバッグをチャリカゴにいれて
皆とは反対方向に自転車を走らせた
今日に限って天気予報はチェックしてないし
携帯も忘れて来た
…寝坊しちゃったからね
しょーくんの腕の中が心地良くて、つい
あと5分だけ…って
最近、そんな事が多い
― ガコンッ ―
「んん?!」
自転車から変な音と衝撃がして
キュッとブレーキをかけると
「マージかぁ…ツイてないな」
後輪がパンクしていて
これじゃ乗って帰れないと
仕方なく自転車から降りて
押して駅まで行くことにした
雨足は次第に強くなって行く
角を曲がった時
― ドンッ ―
鈍い音がして
自転車の前輪が何かにぶつかった