第6章 ブラコンですが、何か?
勝手に見ちゃいけない、と思いながらも
その紙袋に手を伸ばす
服、かな?
取り出したそれはコートのように長くて
あ、これってもしかして…
「特攻服だ」
マンガでしか見たことのなかった、特攻服
これって暴走族が着てるやつだよね…?
しょーくんも、着るんだ…
白い特攻服は新品ではなくて
派手な刺繍がしてあった
“例えこの命尽きようと
我が人生一点の悔いなし
この世で無双の仲間と出逢い
ともに咲かせる暴走華”
「はぁぁ…」
何度目かの溜息だ
見るんじゃなかったよ
無双の仲間、だってさ…
しょーくんはいつだって、弟の僕を一番に大切にしてくれていた
でもこれからは、仲間や恋人が最優先になるんだろう
それでも
自分の中で渦巻く黒い感情に蓋をして
これから先もずっと、大切な者達の元へ駆け付けるしょーくんを笑顔で送り出さなきゃいけないんだ
手にしていた特攻服を畳んで元に戻し
ぼくはしょーくんの部屋を後にした
自分の部屋のベッドに潜り込むと、そこは冷たくて
しょーくん…しょーくんの温もりが欲しいよ…
さっき部屋で嗅いだしょーくんの香りを思い出すと
下半身がズクン、と反応して
思わず僕はそこに手を伸ばした