第6章 ブラコンですが、何か?
「行けよ」
「え…?」
「学校は勉強する為だけのトコじゃねぇーんだよ
悪いこと言わねぇから、せめて義務教育くらいはキッチリ受けとけ
な?」
いつも雅紀にやるように増田の頭をポンポンとすると
抵抗もせずに俯いて
されるがまま頭を撫でられていた
「そろそろ始発だな」
「帰っちゃうんスか…?」
こういうとこ、やっぱまだ中学生なのかな
「また来るよ
今度は勉強、教えてやる」
「…はい!!」
駅までの道のりを増田と二人で歩いた
途中、コンビニに寄って
ヘアカラーの黒髪戻しを買って増田に渡した
「学校行く気になったら染めな」
受け取ったレジ袋からヘアカラーの箱を取り出すと
それをギュッと握りしめて、増田は小さく頷いた
「ただいまぁ〜…」
なんとか家族が起きる前に家路に着いて
ホッと一安心する
二階へ続く階段を登ると、自分の部屋に戻る前にどうしても雅紀の顔が見たくなって
「ちょっとだけならいいよな…?」
手前の雅紀の部屋のドアをそっと開けた
眠っている雅紀にゆっくり近付く
よく寝てんなぁ…
人差し指で鼻をチョンと突付いてみると
一瞬顔をしかめて、そしてにへらと笑った