第6章 ブラコンですが、何か?
「で、誰なんです? 彼氏っスか?」
「か、か、か、彼氏っ?!」
馬鹿言っちゃいけねーよ!
なんで雅紀が俺の彼氏なんだよ!
つーかそもそも俺らは男同士だ!
兄弟だ!
「ちっ、ちげーよ! 弟! 弟だよ!」
「弟? あー、なるほど! 禁断の恋をしてるってわけですね!」
禁断の恋って、お前…
「そんなんじゃ…」
「いいじゃないっすか、禁断の恋。
羨ましいっスよ
俺、愛とか恋とか分かんないから」
「え…? それってどういう…」
「愛された事がないから
愛し方を知らないんス」
「…」
ニコニコ笑ってそんな事をサラッと言う
コイツは一体どんな境遇で育ってきたんだ…?
部屋を見渡すと、どうやらこのアパートの間取りは2K
半分開いた襖の向こうに見える隣りの部屋は物置きのようで、物が乱雑してる
「お前、親は?」
「親も兄弟も居ねぇーっス!」
「居ねぇ、って
どーやって生活してんだよ」
「テキトーに?
名ばかりの父親の死亡保険金切り崩して生活してますよ」
「学校は? まだ中学生だろ?」
「中3っスね
もう半年位行ってないかな…行けねぇっスよ」
基本、人懐っこい笑顔の増田の瞳が
一瞬、曇った…気がした