第6章 ブラコンですが、何か?
「しょーくん、出かけるの? 今から?」
夕飯を食べ終えて支度をしていると
背後から雅紀に声をかけられた
「あー、先輩の誘いでさ」
「そっか…
あんまり遅くなると母さん達も心配するから、」
「あぁ」
チラッと雅紀の方を見ると
“色々心配です”って顔に書いてあって
「大丈夫だよ、付き合いでちょっと顔出すだけだからすぐ帰ってくる」
笑顔を向けてポンポンと頭を撫でた
「なんだ、ここ…」
怪しさ満点の地下クラブ
こんなとこに高校生が出入りしていいわけ?!
入り口にはガラの悪いヤンキー達がたむろしてて
その中に居たオレンジ色の髪の男が
俺を見てスッと立ち上がった
「もしかして、櫻葉さん?」
「そうだけど?」
「やっぱり!
俺、増田って言います
三宅さんに言われて櫻葉さんのこと待ってました
案内するんで着いてきてください」
意外と礼儀正しいんだな
敬語使うってことは…中学生か?
世も末だな。くわばらくわばら。
増田が重厚なドアを開けると、薄暗い室内に質の悪い音楽が大音量で流れていた
「こっちッス」
人の間を縫って、足場みたいな鉄板と鉄パイプで出来た階段を増田の後に続いて登った