第6章 ブラコンですが、何か?
『なるほどねぇ。でもさ、櫻葉 翔
このままじゃお前、強くはなれねぇぞ?』
『えっ?! なんでですか?』
先輩は真っ直ぐに俺の目を見て
そして
『実践あるのみだ
強くなる方法、俺が教えてやるよ』
そう言ってニカッと笑った
それから時々
昼休みにマンツーマンで沢山のことを教えてもらった
グループの仲間が居るのに
なぜかそこに誰かを連れてくることは一度もなかった
“拳は親指を外に出すな”
“拳の第二関節で殴るな。指折れるぞ”
“殴る時は手首を曲げるな”
なんか、強くなる方法というよりは喧嘩の仕方のような気がするけど…
一番衝撃的だったのは
“狙うは鼻の下”
それは目から鱗でしたよ、先輩!!
先輩が卒業するまでの一年間は
強くなる方法兼、ケンカの基礎知識からヤンキー用語まで
色んな事を教わった
先輩は、見た目は普通の中学生なのに日に日にヤンキーに詳しくなっていく俺を見て楽しんでいるようにも見えたけど
本当に良くしてもらったと思う
相変わらずチビだった俺は
三年間、毎日牛乳を1リットル飲み続け
中学を卒業する頃にはもう誰からもチビとは言われなくなっていた
そして迎えた春
俺は
先輩の通う高校に入学した