第4章 溺れる夜は…Monday
「雅紀に足りないものなんて何もないよ…
不満なんて何も無かった
でも…」
「でも…?」
掌に嫌な汗をかいてる
こんな事…言いたくなかった
雅紀には知られたくなかった
「俺、おかしいんだ…」
「おかしい…?」
「雅紀と…初めてシた時から…
身体が、おかしくて
思考もおかしくて
雅紀に愛されると幸せなのに
その裏で別の感情が込み上げてきて
それが抑えられなくて…」
「なんだよ、別の感情って…」
信じてもらえるだろうか
ただの言い訳にならないだろうか
「あのヒトが乗り移ったみたいになって…
めちゃくちゃに壊して欲しくなるんだ…
愛されたいのに
自分を壊してほしくて…
幸せが怖いんだ…
俺は誰かに愛してもらえるような人間じゃないって…!
あのヒトの血が通った、あのヒトの子供で…!
だからセックスに溺れて…!
壊れてしまえばいいって…!」
「ちょっ…!智!何言ってんだよ?!
支離滅裂だよ!
しっかりしろよ!」
雅紀が俺をギュッと抱きしめた
温かい…雅紀の温もり
「ごめん…
ごめんね…
も、離して…」
雅紀に抱きしめてもらえる権利なんて
俺にはもう無いから
「離さねぇよ…
ずっと居るって…
智の側に居るって言っただろ…」
雅紀
どうしてあなたはそんなに優しいの
どうしてそんなに俺を守ろうとするの…