第4章 溺れる夜は…Monday
「今日は智くん、僕と会うつもりはなかったみたいでちっともつれなくてね
話があるなら会ってしようって言って強引に連れてきたんだ
きっと君との事で何か思うところがあったんじゃないかな?」
「俺との事で…」
「どうする? 中に入って三人で話す?」
「…遠慮します」
「じゃあ、君が責任持って智くんを引き取ってね?」
雅紀が俺の手首を掴んだ
「行こう、智」
フルフェイスを被せられ
バイクの後ろに跨がると、翔さんを見た
『頑張れ』
声には出して無いけど
翔さんの口元がそう言ってるのがわかった
雅紀の背中を感じながら
夜の街を走った
雅紀は何も言わない
間違いなく軽蔑されただろう
きっともう…終わりだよね…
腰に回した俺の手は
雅紀にとっては汚いものだろう
もう、触れる事さえ本当は許されない
そんな資格なんて無い
わかってるんだ…
赤信号で止まると
自然とその手の力を緩めた
「しっかり捕まってろ」
腰から解きかけた手を
雅紀がギュッと握り直す
ごめんね、雅紀
ごめんね…
触れた手が、温かかった
俺の大好きな、雅紀の大きな手
自分勝手なのはわかってる
だけど
やっぱり俺は、この手を離したくないよ…