第4章 溺れる夜は…Monday
白いポルシェは丁度、バックで車庫入れをして
ライトとエンジンを切ったところだった
車の前にビッグスクーターを付けると
フロントガラス越しに二人の顔がハッキリと映し出された
運転席にはスーツ姿の男
助手席には…制服姿の智
もっと、怒りが込み上げて自制が効かなくなるもんだと思ってたから
意外と冷静な自分に逆に驚いた
ラブホテルが何をする場所かなんて
ガキの俺でも知ってる
そうか
智は、コイツと…
この男と…
運転席のドアが開く
「何か用かな?」
男が俺に言った
…コイツも冷静だな
俺はエンジンを切り
フルフェイスを被ったままビッグスクーターから降りて
男の前に立った
車の中の智はまだ俺だということに気付いてないのか、怪訝そうな顔をしている
そりゃそうだよね
俺がバイクに乗れる事を智は知らない
この服装だって、潤に借りた物だからまさか俺だなんて夢にも思わないだろう
俺はフルフェイスに手をかけ、それを脱いだ
フロントガラス越し
チラッと智の方を見ると
晒された俺の顔を見て、青褪めているのが分かった
慌てて助手席から降りてくる
「雅紀…」
「こんなとこで何やってんの、智」
自分でも驚くほど冷たい声が
低く響いた