第4章 溺れる夜は…Monday
“雅紀、おはよう!
ごめんね
充電切れててそのまま寝ちゃって
ライン今気付いた!”
智から返信があったのは
翌日の火曜日の朝
“おはよう、智
バイト忙しかったの?”
“人手が足りなくて
なんだかんだね”
嘘だ
バイトなんて行ってないじゃないか
そうやって…この先もずっと嘘を重ねていくつもりなの…?
ねぇ、智…
“そっか
あんま無理するなよ!
それから学校遅刻するなよ!”
精一杯、普通を装って
俺は返事を返した
学校で顔を合わせても
智は至って普通だった
火曜日も
水曜日も…
「雅紀、聞いて!
今日雅紀が泊まりに来るって父ちゃんに話したら
いつも世話になってるんだからたまには寿司でも取って食えって、ほら!」
満面の笑みで樋口一葉を俺に見せてくる
「…いいの?」
「父ちゃんがイイって言ってんだからイイんだって!
楽しみだなぁ〜 学校終わったらソッコー帰ろうね!」
「わかった、わかった」
無邪気に喜ぶ智からは
とても俺に嘘や隠し事をしてるとは思えなくて
今度の月曜にきっと全てが明らかになるから
それまでは
智と過ごせる時間を楽しもう
そう思った