第4章 溺れる夜は…Monday
人の間を縫いながら
駅の中に入って行った智が向かった先は
…ん? コインロッカー?
一直線にそこへ向かったところを見ると
ロッカーの番号を探しているのではなさそうだ
「あっ」
ジャケットのポケットを弄ってる
鍵を取り出すのか
ロッカーに手をかけると扉を開けて
中から黒いバッグを取り出した
智の荷物なのか…?
荷物を手に持ったまま今度は奥のトイレへと入って行く
トイレの入り口が丁度見える位置にあるテナントのパン屋に入り
パンを選ぶフリをして智がそこから出てくるのをじっと待った
「遅いな…」
トイレにしてはいかんせん遅くないか
もしかして、一瞬の隙に出てくるのを見逃した?
そう思った時
「えっ…」
何故か私服に着替えた智が
トイレから出てくるのが見えた
手にはさっきと同じ黒のバッグと通学バッグ
黒のバッグにはきっと制服が入ってるんだろう
ってか、なんで気替え?
これから何処へ行くの?
手にしていたトレイとトングを元の位置に戻し
何も買わずにパン屋を後にして
尚も尾行を続けた
なんだか嫌な予感がする…
僅かに感じた嫌な予感
それがまさか的中して
この後思いもよらぬ光景を目の当たりにするなんて
この時の俺には知る由もなかった