第4章 溺れる夜は…Monday
「智くんはセックス中毒だね」
これが雅紀に対する裏切り行為だという事は百も承知だけど
背徳感に苛まれながらする翔さんとのセックスにたまらなく興奮してしまうのは
やっぱり病気か中毒かのどっちかなんだろう
雅紀との行為に不満があったわけじゃなかった
それなのに
雅紀の真っ直ぐな愛に触れられた分だけ
真逆な欲望が身体を疼かせた
包み込むように愛で癒やしてくれる雅紀と
“壊して欲しい”という潜在的な欲望を満たしてくれる翔さん
夜の闇があるから朝の光の眩しさを知るように
翔さんとのセックスがあるから雅紀の愛を感じられた
いや、
そう思う事で自分を納得させてきた、ってだけなのかもしれないけど…
「そうかもね?
だから、禁断症状が出ないうちに、早く…」
「しょうがないね
ジャンキーな智くんによく効く注射を打ってあげるよ… ほらっ…!」
「あぁぁぁっ…!!」
目が覚めると
翔さんはもうそこに居なかった
これはいつものこと
寂しいとは思わない
翔さんの左手の薬指に光る指輪にさえ
最初からなんとも思わなかったんだ
“また来週の月曜日に。 翔”
テーブルの上に
ホテル代と、メモ書きだけが残されている
これもいつものこと