第4章 溺れる夜は…Monday
胸がざわついた
…雰囲気、良かったな
あのまま付き合っちゃうのかな…
『あっ、いたいた! さーとしっ!
なんで先帰っちゃうんだよぉ
一緒に帰ろ?』
『だって、さっき…』
『…もしかして、見てた?』
『うん、ごめん…』
視線を感じて振り返ると
さっきの女の子がいて
雅紀もそれに気付いた
『行こ?』
『でも、』
『いいから帰ろ?』
雅紀が俺の手首を掴んで歩きだした
痛いくらいに握られたそこはジンジンして
『雅紀、ねぇ、痛いって』
俺の声が聞こえているのかいないのか
周りの目も気にしないで
雅紀はずんずん早足で歩いて行く
待ってよ、足の長さ違うんだからさっ…
引き摺られるように歩いて
校門を出たところで
掴まれていた手がパッと離れた
『断ったから』
『…え?』
『ちゃんと、断ったから』
『好みじゃなかった、とか?』
『好きな人がいるから、って言った』
『そう、なんだ…』
居るんだ、そーゆー人…
知らなかった
胸にチクッと刺すような痛みがして
唇を噛んだ
『…智、』
『ん…?』
『俺は智が好きなの』
真っ直ぐに見つめる雅紀の目に
俺だけが映っていた