第1章 かりそめの遊艶楼
「キスの受け方と身体の力の抜き方を覚えたら
次は御奉仕の仕方かな、」
脱ぎ捨てた襦袢を肩に引っ掛けながら
藍姫様が言う
「御奉仕…」
どうも苦手なんだ
お客に屈してる気がして
「慰み者という観念が抜けない?
御奉仕はボランティア精神が大事なんだよ」
「ボランティア精神…?」
「自発的な貢献の事。
させられていると思ったら苦痛でしょう?
してあげたいという気持ちに持っていくことが大事なの。
同じ行為でも自分の心の持ち方次第で随分と変わるものなんだよ」
色々なお客様がいらっしゃるから
いつもそう思えるわけではないけどね、と
優しく髪を撫でながらそう教えてくれた
「藍姫様に…御恩をお返ししたいです、」
藍姫様を見つめると
優しく微笑んで頷いた
「藍姫様… 智様、」
「和也…」
自然と唇が重なる
心地良い口付け
雅紀さんの時もそうだった
肩に引っ掛け
前を重ねただけの藍姫様の襦袢をハラリと落とし
身体を布団に横たえる
「智様を気持ち良くして差し上げたい」
「ふふっ。嬉しいこと…」
藍姫様の首元に顔を埋め
下へ下へとキスを落としていく
「んっ…」
「はぁっ…智様…」
「和也… あぁっ…」
ピンと立つ胸の粒に
柔かく舌を当てて
円を描くようにする
「ぁんっ…焦らしてるの…?」
「どちらがお好きですか…?」
舌先を尖らせ素早く上下に舐め上げると
「ぁぁんっ…もうっ…! 急にそんなっ…!」
白い肌をピンク色に染めて
妖艶なお顔で僕の両頬を包んだ
「上手にできるか…見ていてください、」
中心の先から溢れる蜜を人さし指で掬い取り
ねぶるようにしてから口に含むと
シーツをギュッと握って肩を揺らした
「和也、奥まで咥えようとしなくていいんだよ…?
手を添えて…そう、時々目線を寄越して…
んんっ…はぁっ……ぁっ…
私の表情や息遣いもっ…見ていて…? っぁ…!」
可憐で
妖艶で
優しく愛でたくなる
これが太夫の素質というものなのか
「ぁぁっ…和也…もう離してっ…!」
嫌です、と首を横に振る
「っぁぁ…ダメっ…!」
握る手に少し力を込めて
絡みつくように吸い上げた
「ぁぁぁあっ…!」
僕の口の中で
藍姫様の熱が爆ぜる
何故だろう、
躊躇なくその熱を喉に流し込んだ