第3章 飴玉本舗✡摩訶不思議堂
「だいたい、会食だなんて大袈裟なんだよなぁ
あっ、この海老チリ美味しいですよ!
ほら、雅紀さんも食べて、食べて!」
「う、うん…」
いや、美味いけど
美味いけどね?
俺とランチしてる場合じゃないんじゃないの?
「ねぇ、潤くん
ホントに大丈夫な…」
「もうっ! 大丈夫ですってば!
雅紀さんは嫌なんですか、僕とランチするの」
「そんなわけないでしょ!」
「明日からまた暫く会えないんだから…
このくらい、許して欲しいなぁ… ダメ…?」
無意識なんだろうけど
上目遣いでそんなこと言われたら
ダメだなんて言えないよ
「お…俺は嬉しいけどさ…」
「なら、問題ナシ!」
カッコよかったり
可愛かったり
潤くんの魅力は底無しだ
「夕飯、楽しみだなぁ」
「うん、楽しみにしててね」
潤くんが笑うと
俺まで自然と笑顔になる
幸せな時間だなぁ…
食べ終えた後も
時間ギリギリまで二人で過ごした
他愛の無い話も潤くんとなら楽しくて
俺にとっては20時間後の明日の夜が
潤くんにとっては20日後の夜で
寂しい思いさせちゃうかな…
金だっていつまでも続くわけじゃない
打開策は無いか
何か、考えないと…
「雅紀さん、どうかしました? 難しい顔してる」
「ん…なんでもないよ、ただ…」
「ただ…?」
「潤くんと、離れたくないなって…」
時間が来れば
俺は強制的に元の世界に戻されてしまう
「一つ、聞いてもいい?」
「なんですか?」
「もしも神様がいて、一つだけ願いを叶えてくれるって言ったら
潤くんなら何を願う?
但し、その願いの効果は一日限りだって言われたら」
潤くんならどうするだろうか
「そんなの、決まってる」
「え…?」
「雅紀さんと、ずっと一緒にいたいって
そう願うかな
ずっとって願えば、ずっと続くんですよね?」
ずっと…
そうか
ずっと、って願えばいいんだ
こんな簡単なこと、今まで気付かなかったなんて
なんて俺はバカなんだっ!