第3章 飴玉本舗✡摩訶不思議堂
ん…あれ、なんか…身体、浮いてる…?
それになんだか辺りが騒がしい
なんだ…?
薄く目を開けると
何故か両サイドにガードマン
そして俺はその逞しい肩に担がれている
「え!ちょっと!何!」
足をバタつかせるとガバッと取り押さえられた
何?! 何?! 何なの?!
「連れて行ってください」
振り返ると
声の主の年配の男の人と、野次馬が数人
「やめっ…! 俺なんもしてないしっ!」
抵抗も虚しく、どうやら不審者と間違えられたのか
俺はどこかへ連行されそうになっていた
「雅紀さん?!」
…! この声は…
「潤くんっ!」
「雅紀さん!!」
スーツ姿の潤くんが駆け寄ってくる
「どこ行ってたんですか!
探してたんですよ!
ってか、何やってるんですか!」
「松本さんのお知り合いですか?」
「そうです!
離してあげてくれませんか?」
疑いの眼差しで俺を見ていた、コンシェルジュらしき年配の男の人がガードマンに目で合図すると
担がれていた腕を解放された
「マンションの植え込みの中に蹲っていたもので、不審者がいると住人から連絡がありまして」
「植え込みの中に…?
雅紀さん…何やってるんですか…」
「え、いや…」
こっちが聞きたいよっ!
なんで俺はそんなとこに居たんだよ!
「今後このようなことが無い様に気を付けてくださいね」
「…すみせんでした、」
潤くんも一緒になって頭を下げてくれて
野次馬の皆さんにも『お騒がせしてすみませんでした』と謝って
腕を引かれて逃げるようにその場を後にした
見覚えのあるエレベーター
そっか…此処、潤くんのマンション…
「良かった…」
「え…?」
「雅紀さん急に居なくなるから…
俺、なんか気に触ることでもしちゃったのかなって…
嫌われたかなって、思って…」
そんなわけないじゃん
潤くんを嫌うなんて
そんなこと、あるわけないでしょ?
「この二日間、ずっと落ち込んでたんです
でも良かった、会いに来てくれて…嬉しかった」
俺だって嬉しいよ
また潤くんに会えて…
って
え? 二日間?